ゴールデンウィーク!雪が残る五竜岳、唐松岳を廻る山旅

ゴールデンウィーク!雪が残る五竜岳、唐松岳を廻る山旅

はじめに

去年のゴールデンウィークは、後立山にターゲットを絞って比較的安全に登れる雪山山行を計画していた。

長い連休なので長期の山行を計画したいが、積雪期の不帰ノ嶮や八峰キレットを抜けるのは難しい。

そこで、候補として、赤岩尾根を経由して鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳に登る計画と、遠見尾根を経由した五竜岳、唐松岳へ登る計画の2通りの計画を立てていた。

そして去年は、前者のルートを登ったが、赤岩尾根は、いくつもの雪の急斜面をトラバースしたり、斜度のキツイ雪稜を登ったりと激しくも、雪山らしさを楽しめるルートであった。

今年は後者のルートを登る事としたが、穏やかに続く遠見尾根が魅力である。

計画

地図

行程

1日目(2019/5/4) :Hakuba47スキー場(矢崎山)→ 地蔵の頭→小遠見山→ 中遠見山→大遠見山(テント泊)

2日目(2019/5/5) :大遠見山→西遠見山→五竜山荘→五竜岳→五竜山荘→ 大黒岳→唐松山荘→ 唐松岳→唐松山荘(テント泊)

3日目 (2019/5/6):唐松山荘→ 八方池→ 八方山荘→八方駅

携行品

共通: ザック、ザックカバー、財布、GPS、カメラ、PLフィルター、三脚、トイレットペーパー、ファーストエイドキット、ハサミ、ナイフ、ヘッドライト、ゴミ袋、コンパス、地図、タオル

ウエア: 帽子、サングラス、長袖シャツ、 ファイントラック、速乾性下着、長ズボン、ソックス、登山靴、雨具

登山道具: ストック、アイゼン、ピッケル、テムレス

幕営: テント、マット、シュラフ、 枕、シュラフシーツ、ペグ、細引き、スコップ、スノーソー

自炊:クッカー、ガソリンストーブ、燃料、プレヒート用アルコール、フリント式ライター、ウインドスクリーン、 板切れ、割り箸、ナルゲンボトル(400ml、1000ml)

防寒具:ダウンジャケット、バラクラバ、ゴーグル、ニット帽

食料: 行動食(シリアル、煎餅)、食料(インスタントラーメン×4、乾燥野菜、高野豆腐、野菜スープ)、経口補水液500ml(塩1.5g、ブドウ糖9g)、マルチビタミン

レポート

期間

2019/05/04 ~ 2019/05/06

1日目

コンディション

  • 天気:晴れ
  • 風:穏やか

記事

本日は、朝から天気が良く風も穏やかで絶好の登山日和である。

6時に八方尾根第6駐車場を出発する。 みそら野別荘地を進み、平川をわたり、Hakuba 47スキー場近くの取り付きから、矢崎山へと進む。

しかし、矢崎山から先の登山道が不明瞭であり、藪に阻まれ計画を変更する事にする。

既に、時間を使ってしまっているので、 まずは白馬五竜スキー場へ行き、 ゴンドラで上まで登る事にする。

下界では、美しい花が咲き乱れ、まだ春の気配が残っている。 春うららかな空気の中、五竜スキー場へと向かうが、ザックの重量は23 kg あり汗だくである。

五竜スキー場に着くと、ゴンドラの切符を買い、上へと移動する。 一気に700mほどの高度を稼ぎ、標高1530 M 地点へと到着する。

そこからは、スキー場の端を通って、地蔵ノ頭へと進む。 空気は、下界より冷たいが、日差しと雪面からの照り返しで、風がないと暑い。

重いザックに体力を奪われ、 次第に休む回数が多くなる。

程なくして、小遠見山へ 到着する。こまめに水分と行動食を摂取し先へと進む。

小さなアップダウンはあるものの 危険箇所はない。

中遠見山を過ぎると、五竜岳が近づいてくる。

大遠見に到着し、ここを幕営地点とする。

ギャラリー

2日目

コンディション

  • 天気:晴れ
  • 風:穏やか

記事

夜明け前に起床し、目の前の絶景を写真に収め、食事を取る。

鹿島槍ヶ岳の方向に目を向けると、鹿島槍ヶ岳 南峰を直登するクライマーであろう、ヘッドライトの明かりが見える。

ルートは、雪崩の巣窟となっている為、雪の安定している時間帯を狙って登っているのだと思う。

準備を整え、幕営地点を6時に出発する。

今日も天気がよく風も穏やかだ。

西遠見山付近は、地形がなだらかで、幕営している登山者が多くいる。

更に進むと、五竜岳は目前となるが、行く手は、尾根沿いに北へ迂回するようにルートを取る。

しばらく進むと、雪面の急登から、白岳南斜面をトラバースする。降雪時には雪崩に注意が必要な箇所だ。

トラバースを終えると、五竜山荘へ到着する。五竜岳山荘は、ゴールデンウイーク中に営業はしていない。

ここからは、荷物をデポして、五竜岳山頂を目指す。

ザックの雨蓋をヒップバッグとして使用する事が出来るので、カメラや水などの必要最低限の携行品を雨蓋に移す。

山頂へ進むと、稜線の西側斜面をトラバースする事が多くなる。

ステップの幅が狭く、緊張を強いられる箇所もあるが、雪は締まっていて、足場は安定している。

不安な箇所は、ピッケルのピックを斜面に突き刺し、手がかりを作りながら進む。

そして、山頂直下の斜面に到着する。白い雪面が青い空へと伸びており、斜度はキツい。

一歩間違えれば、滑落し谷底まで止まらないであろう。数名の登山者が斜面を降りて来る最中であったが、皆慎重にバッグステップで斜面を下っている。

自分が登る番となり、ピッケルのピックを雪面に突き刺し、手掛かりを作りながら登る。

雪は、太陽に照らされ腐っており、気が抜けない。息を整えながら、一歩一歩進む。

急登をやり過ごし、リッジを抜けて、9:45に五竜岳山頂に到着する。

しばし、頂上からの景色を楽しむが、下りの事を考えると、全く安心出来ない。


少し休んでから、五竜岳山荘へと下る。下りの方が登りよりも体力を必要としないが、気を抜かずに先へと進む。


五竜岳から唐松岳への道のりは、夏道が出ている所が多く、アイゼンを外して出発する。


唐松岳山荘までは五竜岳の山腹から見える距離で、直ぐに着くだろうと、たかをくくっていたが、鞍部まで相当下っており、先行きが不安になる。


最底部に到着すると今度は雪面の登りとなる。アイゼンを付けたり外したりする必要があり、面倒だ。


暫く進むと、岩稜となり道は険しくなる。
この岩稜を越えれば、唐松山荘が見えるだろうと思い、進むと岩稜は更に続いている。


いずれにせよ、山荘は、もうすぐであり焦らずに進む。
最後の岩稜を回り込む様に進むと、ようやく山荘が目の前に見える。
今日中に、唐松岳に登り、麓まで下って、温泉にでも入ろうかと考えていたが、唐松岳に登る気力すらない。


15時に唐松岳山荘に到着し、テント泊の手続き(1200円)を終え、コーラ(400円)を購入する。


コーラの甘みと炭酸の刺激が乾いた喉には、たまらない!コーラを飲むと、気力が蘇り、テントを設営する前に、唐松岳へ登頂する事にする。


もうすぐ夕暮れに差し掛かる時間帯となっているが、必要最低限の荷物だけ持ち、山頂へと進む。風は穏やかだ。


既に、山頂への道のりには、人はいない。少し登ると、雪のなだらかな斜面となり、雪質は、グズグズで時折足を取られる。


程なくして、山頂に到着する。360°の展望が広がり、誰もいなく、静かだ。後は、明日の早朝に山を下るだけ、ここまでの道のりを振り返り、しばし感慨に浸る。


しばらく休んだ後に、テント場へと下り、テントを設営する。いつものように、炊事用の水と、明日の行動用の水を作り、食事を取る。
本日も、野菜スープと味噌ラーメンを食す。日が落ちると、かなり冷え込んで来る。


炊事中に、パラパラと雪が降ったが、夜半になると、テントに本格的に雪が打ち付ける様になる。あまり、雪が降り積もると、雪崩に注意する必要があり明日の下山が心配になる。明日で連休は、終わりなので停滞は避けたい。

ギャラリー

3日目

コンディション

  • 天気:晴れ
  • 風:ほぼ無風

記事

テントに雪が打ち付ける中、うつらうつらと浅い眠りを繰り返して朝を迎える。

夜明け前、テントの外に出ると、雪は上がって晴れていた。冷え込みは厳しく、溶けた雪で、ビショ濡れだった靴は、ガチガチに凍っている。

カメラを持って辺りを散策していると、どこからか、雷鳥の鳴き声が聞こえて来る。姿は見えないが、かなり近い。

昨日、五竜岳の山頂直下の急斜面で、白い羽を纏った、雷鳥に遭遇したのだが、カメラを出している余裕は無かった。

冬毛を纏った雷鳥に遭遇する機会は少ないので、この機会に写真に収めたい。

雷鳥の鳴き声は、ゲルルルル〜と特徴があり、雷鳥である事が直に判別出来る。

しばらく歩き回っていると、テント場よりやや上に登ったところで、雄の雷鳥に、遭遇する。

斜面の上の方によちよちと歩いていたが、突然向きを変え、小屋の方向へ飛び立って行く。

さらに、斜面を上がった所にでも、雄の雷鳥に、遭遇。丁度、岩のてっぺんを歩いていて、構図の良い写真を撮る事が出来た。

日が昇り、テントを片付け、下山する準備を整える。靴の紐とアイゼンのベルトが凍っていて装着する事に苦労する。

6時頃に下山を開始するが、積雪量は、昨晩心配していたほど積もっておらず、トレースは明瞭だ。

自分がこの日一番の下山者である様で、まだ雪は踏まれていない。

風は、ほぼ無風で涼しく、雪は締まっていて、歩きやすい。

気持ちの良い八方山の尾根が続く。しかし、太陽が高くなるにつれて暑くなり、雪がぐずぐずになり歩きにくくなる。

しばらくすると八方池に到着するが、池は雪の下であった。 去年の夏にこの尾根を登った記憶を思い出しながら下るが無雪期とは別世界である。

少し下ると八方池山荘に到着する。時間に余裕がない事から、ここからはリフトとゴンドラを乗り継いで下山する。9時過ぎに無事麓に到着する。

とにかく腹が減ってるので、コンビニで軽く食事を済ませてから、薬師の湯で汗を流し、帰宅の途に着く。

ギャラリー

おわりに

例年通りではあるが、今年のゴールデンウイークも天気に悩まされ、10日もある連休の終盤ギリギリに、計画していた山行を実行する事になった。

しかし、天気は好天が3日続き、日常とかけ離れた雪山を満喫する事ができた。

計画では、全ての行程を自力で踏破する予定であったが、藪に阻まれ計画を変更する事となった。しかし、ザックが重く全て自力で廻るのは、相当体力を使ったであろう。

今回の自分の体力では、リフトを使ってちょうど良い。いや。体力が足りないくらいであった。やはり、日ごろの体力作りが重要だと感じた。

しかし、予定していた行程には、危険個所や天候等の不安要素が多く、無事に山行を終える事が出来、天気にも恵まれ良い山行となった。