キャンプに自立型の軽量テントをお勧めしたい理由

キャンプに自立型の軽量テントをお勧めしたい理由

はじめに

最初に買ったテントは、シェラデザインズのハーフムーン2と言う製品であった。

ハーフムーン2は、ダブルウオールのクロスフレーム型のテントで、インナーテントをフックでフレームに吊り下げるタイプで楽に設営できる。

安価でありながら、二人で使用しても十分な広さがある点や、丈夫な生地で作られている点、フライシートの縫い目は、しっかりシームされており、不満なく使用する事が出来た。

ハーフムーン2の購入から、何年か経ち、登山を始めるようになったのだが、はまりすぎてテント泊での縦走を計画する事になる。

しかし、ハーフムーン2は、重く、かさ張り、登山には向かないので、もっと軽量で丈夫なテントの検討する事になった。

始めての、山岳テントと言う事で、凝った作りのテントは避け、出来るだけベーシックな作りで、安い製品を探す事にした。

色々探したところ、登山用のテントは、結構な値段がするし、値引きが期待できない事が判明する。そこで、比較的安く、テントマットの特典付きで販売されていた石井スポーツのオリジナルブランドの PAINE ライトラインテント (36,540円)を購入することにした。

8年ほど使用しているが、軽量でありながら、暴風雨等の厳しい環境でも浸水等の問題はなく快適に使用出来ている。

今回の記事では、ライトラインテント(今は販売されていないが…)を紹介すると共に、テントを選ぶ際のポイントも記載したい。

2013年5月25日 甲斐駒ケ岳への登山の道中

PAINE ライトラインテントの紹介

特徴

ライトラインテントは、クロスフレーム型のドームテントで、ダブルウオールになっている。フレームは、テント本体のスリーブに通す仕組みになっていて、スリーブの片方の端は閉塞されている。

フロアのサイズは、190cm×100cmで、1~2人用とされているが、荷物の多い登山では、1人でいっぱいになる。

また、長編開きになっていて、前室が広く取れる。煮炊きするのには、十分な広さだ。

ガイラインをしっかり固定すると、かなりの風が吹いても、たわみはするものの耐えてくれる。

2015年2月7日 八丈島のキャンプ場にて

設営方法

  1. ポールを取り出し、組み立てる。
  2. インナーテントのスリーブにポールを差し込み、立ち上げる。
  3. フライシートを被せ、フライシートとインナーテントの四隅を接続する。
  4. ガイラインをフライシートの穴から外に出す。
  5. ガイラインをペグや石で固定する。
  6. テントの四隅をペグダウンする。
  7. フライシートの入り口部分をペグダウンする。
  8. テントの入り口意外の三辺をペグダウンして、張る。
  9. フライシートの出入口と反対側には、フライシートを張る為のガイラインがあるので、これもペグダウンする。

2015年9月19日 針ノ木小屋のテント場にて
同上

良い点

  • 風に強い。山や、離島のキャンプ場では、風が強く吹くことが良くあるが、ガイラインで固定すると風に伸される事がない。今までに強風の中テントを張ることがあったが、問題が発生した事はない。
  • 軽い。メーカー公表値で、1.5kg。山岳テントの中では標準的な重量。
  • 濡れても乾きが早い。水切れが良く乾きが早いので、メンテナンスにかかる時間を短縮できる。
  • 出入りがしやすく、換気がしやすい。出入り口の開口部が大きく、出入りも換気も楽にできる。ドアはファスナーを開けるとメッシュになる。

悪い点

  • 狭い。山岳テントとしては、必要十分な広さがあるが、荷物をいれると窮屈で、広くはない。
  • ボトムが多少結露する場合がある。ボトム部分は水を通さない素材で出来ているが、テントの中で煮炊きしたり、テントの中と外の温度差が大きい場合に、結露する事がある。
  • 長辺が短い。ライトラインテントの長辺は190cmで、俺の身長は170cm。横になっても20㎝余裕があるはずだが、テントの壁は傾斜しておりギリギリの長さ。風が強いとテントが押されて、壁が頭に当たったり、シュラフの足先の部分が、テントの壁に当たり結露で濡れると言った問題がある。

利用シーン

軽量で丈夫であり、夏の低地やスペースがテントの面積しか無い様な雪稜を除き、どのような状況でも使える。

  • 縦走等のテントを泊の登山。夏季、厳冬期共に使用可能。
  • 通常のキャンプをでも、バックパックを背負って旅先に移動する必要がある場合。

夏の低地では、テント内に熱がこもる為、インナーテントが、フルメッシュであるものが良い。と言うか、暑すぎてフライシートもいらないくらいだ。

また、極端にスペースが限られている(設営幅が狭い)場合は、短辺開きのテントが良い場合がある。例えば、両側が切れ落ちている雪稜にテントを張る場合、長辺開きのテントだと、出入り口が崖になってしまう。

2014年1月2日 仙丈ケ岳への登山の道中

オールマイティーに使えるテント選びのポイント

アウトドアスポーツを始めると道具が増える。

テントも同様で、状況に合わせていくつか揃えたいと思うかもしれないが、費用の面でも、保管場所の面でも、極力買い足さなくて済む様にしたい。

そうした場合に、どの様な条件でテントを選べば良いか考えてみた。

夏の蒸し暑い低地でのキャンプや、アルパインクライミングで雪稜などの究極にスペースが限られた場所にテントを張ることを除いた場合の条件である。

登山用のテントである

個人的には、オートサイトでのファミリーキャンプをする場合でも、以下の理由で、登山用の軽量なテントをお勧めしたい。

  • 丈夫であり、長く使える。
  • もしも将来、テントを手荷物で旅先に運ぶ事が必要になっても、軽量なテントを買いたす必要がない。
  • 軽く、小さい分メテナンスが楽。洗ったり、乾かしたりするのに場所を取らない。
  • そもそも、フィールドに出て、テント内に居るのは、寝るときが中心であり、居住性は重要ではないのではないだろうか。

自立式である

ファミリーキャンプでも、山でも自立式でクロスフレーム型のテントをお勧めしたい。

  • 頑丈である。ドーム型になるため、風で力がかかっても、その力が分散されやすい。
  • 設営が楽。時には、風が強い中でテントを設営する場合があるが、構造がシンプルで組み立て安い事は重要。
  • 非自立式のテントは、雪面等のペグが効きずらい場所では、設営が難しい。

ダブルウォールテントである

結露しずらく、外気が直接インナーテントに当たらない分、テント内の熱が逃げにくい。また、前室を確保できる。

シングルウォールの場合、雨天時は靴をテントの中に入れる必要があり、狭いテント内が、更に窮屈になるだろう。

長編開きである

山では、限られたスペースにテントを張る為、短辺開きのテントが主流となっているが、長辺開きでも、不便に感じた事はない。

むしろ、広い前室が確保でき、煮炊きしたり、靴を置いたりすることが出来て何かと便利である。

通気性がよい

日が当たるところでは、テントの中が、かなり暑くなる為、出入口が広く換気しやすい事が重要である。

出入口の反対の側に換気口、もしくは、大きく開けることが出来るものであれば尚良い。

また、出入口がメッシュになる製品であれば、虫の侵入を防ぐ事ができて良い。

ガイラインでテントをしっかり固定できる

ガイラインがフライシートと繋がっている製品があるが、ガイラインは、インナーテントのポール部分に繋がっている製品が好ましい。

風にテントが押されても、インナーテントのポール部分が、ガイラインで地面と固定されていれば、テントがたわむ事を押さえられる。

軽量であることを最優先にしたテントは避ける

このようなテントは、かなり割りきった作りになりがちで、居住性や耐久性が低くなりがちである。

特にひとつ目のテントは、定番とされている製品を選んだ方が、色々な環境で活用でき、長く使えるだろう。

メッシュ生地のインナーテントは避ける

冬も使う事を考えると避けた方がよい。特に雪山では雪が吹き込んできて、使用することは難しい。

また、雨の日にテントが風で煽られると、フライの内側に着いた、水滴か飛沫となって降ってくる事が考えられる為、避けた方が無難。

低地の暖かい時期限定でキャンプするのであれば、一部メッシュを使用した、インナーテントの方が、風通しが良く快適に過ごせるかも知れないが、始めてのテントであれば、上記の理由でメッシュを避け、代わりに出入口と出入口の反対側に開口部がある通気性の良いテントを選んだ方が、多様な環境に対応出来ると思う。

2018年3月8日 千枚小屋のテント場にて

理想のテントとは

山でも何処でも使えて、快適に過ごせるテントについて考えてみたい。条件は以下のようにした。

  • フロアのサイズが、長辺が210cm以上、短辺が100cm以上。
  • 重さが1.5kg前後。
  • 長辺開き。
  • 価格が安い。

現在販売されているテントを以下のPDFファイルにまとめてみた。

山岳テント一覧

  • まず、トレックライズ1が十分なフロアサイズがありながら軽量で、価格が42,000円と安い。
  • 次に、オニドーム2(47,000円)がトレックライズ1と同じ様なフロアサイズと重量でありながら、前室が広く取れるところが良い。
  • TANIN 2P は、面積当たりの重量がリストの中で一番軽く、57,000円と少し高く感じるが、面積当たりの価格で言うと安い部類に入る。
  • プロモンテ VL-26(47,000円)、VL-26T(49,000円)は、軽量で十分な広さがあり、価格が安い。

おわりに

テントを選ぶ際は、上記の「山岳テント一覧」を参考に自身のアウトドアスタイルに合ったテントを見つけてほしい。広さが決まれば、後は重さと価格のバランスで選択するといいと思う。リストに記載しているメーカーであれば、リリースされている製品がある程度枯れているので、買ってから後悔することはないと思う。最終的には、細かな特徴などを、アウトドア専門ショップに確認し決めると良いだろう。

以上、テントを探している方にこの記事が参考となれば幸いである。